パルフェ ~ショコラ Second Brew~

一応、前作『ショコラ』の正当なる続編。前作のキャラが多数登場するので、『ショコラ』をプレイしていれば本作に対する思い入れもより深くはなりますが、本作のみでも十分楽しめる作品になっています。ゲームのシステム等は前作よりも随分洗練されて遊びやすくなっており、プレイしていて不満を覚える事はまずありません。インターフェイスのデザインも好感が持てますし、キャラクターデザインも前作よりも数段巧くなっており、ほとんど現在ある戯画ソフトの基本形と言っても過言ではない完成度です。ただし、前作同様よくも悪くも問題なのがシナリオ。前作では「2強ヒロインあとは数合わせ」というバランスの悪いシナリオ配置だった訳ですが、なんと本作では「1強ヒロインあとは数合わせ」という更にバランスの酷い配置になっています。もちろん、その数合わせに値するヒロイン付属のストーリーは、前作以上に高い完成度を誇ってはいるのですが、尺が些か短いのです。システムが洗練された分サクサクと先に進めるのが災いして、かえってシナリオの量の少なさが浮き彫りに。あっという間に終わってしまう恋愛話の物足りなさに、少なからず不満が噴出しました。まぁ、多すぎて冗長気味になるよりかは確かにマシですが、もう少しラブラブな展開も見たかった所です。

という感じで全体的な感想では少々マイナスな意見になってしまいましたが、それでも、ギャルゲーファンならば是が非でもプレイして欲しいソフトである事は間違いありません。本作に出てくるメインヒロイン(あえてメインと断言しましょう)夏海里伽子というキャラが、恋愛ゲー至上稀に見る強烈ヒロインなのです。前作の2強なぞ目ではありません。本作の主人公とグルになって、プレイヤーを号泣のどん底に叩き込んでくれます。ただし、そこには悲しい涙なぞ一切ありません。嬉しくて切なくて号泣できるのです。Keyの誰かさんとは大違いです。このギャルゲー界最強のカップルの想いに是非にも触れて、共に号泣しようではありませんか。

◆ お気に入りBEST3

BEST1
夏海里伽子 CV:浅野麻理亜

前評判からして凄いキャラと聞いていたのでかなり構えて彼女のシナリオをプレイしたのですが、最初に選ぶ事になるノーマルシナリオでは大して紆余曲折も無く普通に進んで普通にオチが付きます。そのオチも当方が大好きな”幸せ結婚子供持ちエンド”だったので、「あー良かったー」とは思いつつ、大して感動もせずに終わってしまったストーリーに肩透かしを食ったのも確かでした。

ところがどっこいしょ。

ノーマルクリア後にTRUEエンドに向かう選択肢が追加されてコレを選ぶと、そこで初めて里伽子シナリオにおける最凶の真実が明白の物となります。ネタバレになるので詳しくは申せませんが、当方はこのシナリオを読んだ時に血の気が引きました。流石にこれでは仁と里伽子の復縁は不可能だろうと考える他ありませんでした。普通の男性ならば彼女との関係改善はまず諦めていた事でしょう。ところが、この仁という主人公が素っ晴らしい人物で、彼女の抱える問題を彼女と共に解決する道を自ら選択するや、その難事を打開する為のあらゆる可能性について模索し始め、更に行動に移します。そして、その見通しがある程度たった段階で、なんと仁は里伽子にプロポーズするのですね。もうここから涙腺緩みまくりだったのですが、仁の愛に答えた里伽子の心情の吐露がこれまた号泣モノで嗚咽が出るほど泣きました。2人の愛の深さが如実に分かる最高最強の名シーンでした。ここから数年後、ノーマルエンドにもあった”幸せ結婚子供持ちエンド”に繋がる訳ですが、里伽子が子供を抱いている事の意味を考えると、やはり感極まるものがありましたね。いつまでも幸せ家族である事を。

BEST2
花鳥玲愛 CV:松永雪希

昔、学生時代の友人と話をしていて「最強のツンデレヒロインは『おとぼく』の厳島貴子さんだよな」と当方が力説した所、「いや『パルフェ』の花鳥玲愛だ」と返答してきたので、なんとなくその名前を覚えていたのですが、実際に『パルフェ』をプレイするにあたってやはり一番期待したのが、知人がオススメしていた玲愛シナリオでした。どんなツンデレっぷりを見せてくれるのかドキドキしながらプレイしたのですが、エンディングを見たあとの感想としては、正直に言って肩透かしでした。確かにツンデレ指数の高さは折り紙つきですし十分に萌えられたのですからある程度は満足できたのですが、如何せんシナリオが短すぎました。性急に関係をまとめてしまった印象が強くて、なんだか色々と物足りないのです。ツンデレヒロインの場合は他のヒロインよりも気持ちの切り替わりが激しい分、特にその恋愛の過程の描き方が重要視されると思うのですが、その点が玲愛の場合は少し微妙で、シナリオの短さ故にデレが早いというか、仁に対する心の葛藤が少々おざなりだった感じがするのです。あと1つか2つ、仲良くなるキッカケとなる強い動機をシナリオ内で綴ってもよかったように思いました。まぁ里伽子という強烈ヒロインの前では彼女も霞んでしまうか?

BEST3
風美由飛 CV:高槻つばさ

パッケージに出ているヒロインは天然の法則。前作の真名井美里に一歩も引かないほんわかキャラで、彼女の先の読めない行動と言動が逆に不思議な魅力になっています。喫茶店ファミーユには序盤にアルバイトとして配置されるのですが、音楽家としての高いスキルを生かして、ピアノを弾いたり歌を歌ったりして意外な形でファミーユを盛り立ててくれます。この店の店長である主人公とは他のヒロインとは違い、ほとんど障害も無くすんなり恋人同士の間柄に納まるので、以降、ひたすらに2人の甘々な展開を見せてくれたのは高ポイントでした。そんな天然な彼女にも悩みがあります。キーは妹。この作品に登場するあるヒロインが彼女の妹なのですが、その妹との仲が過去の出来事が原因であまりよろしくありません。この姉妹の関係改善の為に走り回る主人公でしたが、実際にはこの妹の努力が由飛の心の葛藤を解き解してくれました。流石はツンデレ(?)。こんな美人姉妹に囲まれる主人公が羨ましい?

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