メモリーズオフ

「惜しい」という言葉が百回は出てきそうな程に惜しい作品。この題材とシナリオならば、作り手によっては相当注目に値する作品になったと思うのですが、どうも”恋愛ゲーム”としての面白さが欠落気味。盛り上がる場面での演出にパワーが殆ど感じられないので、結果的にアッサリとした印象しか持てないのです。好みの問題もあるとは思いますが、キャラデザも単調でインパクト不足。イベントCGにもあまり力強さが感じられず、話のイメージと噛み合っているとはお世辞にも思えませんでした。音楽も非常にショボくて、気持ちが乗っていかないですし。この辺のプレイヤーに対するアピール度が致命的に弱過ぎて、せっかくのストーリーが台無しです。売れ線であろうとして最低限のお約束をキッチリ守ったのは良いとしても、少しは他と違う所も見せてくれないと買う方としても魅力を感じませんよね。足りないのは演出力とちょっとした遊び心か? キャラクターの性格付けはなかなか好感が持てましたし、声もそれなりにマッチしているだけに実に勿体無い。続編に期待します。

◆ お気に入りBEST3

BEST1
今坂唯笑 CV:那須めぐみ

主人公の幼馴染。根が非常に単純且つ人の話を真に受ける傾向が強いので、しょっちゅう主人公に騙くらかされます。ただ、騙された事に気付いたとしても、それほど根に持たないのが彼女の長所(短所?)。小さい頃から主人公に甘えて育った為か、高校生になってもそれは変わらず。ただその気持ちが恋愛に変わると話は別。キーは彩花という女性。主人公にとっても唯笑にとっても大切な人だった為に、2人の間に大きく立ちはだかります。主人公の気持ちの変化が痛々しいのですが、唯笑の気持ちは既に決まっているだけに、後は流れに身を任せと言った所。那須さんは歯切れの良い声で唯笑を好演。ボケぶりもなかなかでした。

BEST2
双海詩音 CV:和田優子

帰国子女の転校生。あまり他人と接しようとせず、1人で本を読んでいます。大変な読書家で、図書館から膨大な量の本を借りては短期間で読破してしまいます。キーも図書館。日本の事があまり好きではないようなのですが、未だに侍がいると信じている時代錯誤的な所は、まさにそれが起因しているのかも。主人公の方からいろいろと誤解を解いてあげましょう。古文の知識があると更に良し。話が進むとまた転校話が持ち上がりますが、ここまできたらどう対処するかは分かりますよね。双海さんの淹れたおいしい紅茶が待っていますよ。和田さんはまだこれからと言った所でしょうか。物静かな感じは良く出ていました。

BEST3
霧島小夜美 CV:浅野るり

明るく気さくなお姉さん。腰痛で倒れた母親に代わり、高校の購買部を切り盛りしています。キーも購買部。ただ、渡す商品を間違えたりお釣の計算を間違えたりと、大学生(経済学部)とは思えない抜けっぷり。かくいう筆者も経営学部卒のくせに計算苦手なので、親近感が沸きました。ただ、ある程度仲良くなると遊園地に行けるのですが、その後イキナリ2人が付き合っている状態になるのには驚きました。過程を端折り過ぎ。かなり唐突なので、最初はバグかと思った程です。この辺りも本作の評価を下げた一因でしたね。浅野さん、ハキハキした演技がとても印象的でした。

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