ビーフストロガノフの
ゲーム感想日記

ショコラ　～ｍａｉｄ　ｃａｆｅ”ｃｕｒｉｏ”～

正直、評価の難しい作品です。もちろん、元のＰＣ版の発売が２００４年末であり、当方が本作品をクリアしたのは約２年後の２００７年３月でしたから、いくら移植されたＰＳ２版で遊んだとはいえ全体的な出来に古さを感じたのはある意味、仕方の無い部分ではあります。ただ、その事を差し引いたとしても、やはり若干疑問は感じざるおえない作品でした。本作をクリアしたのは上にも述べた通り０７年の３月なのですが、ソフト自体は０６年４月に購入済みでした。しかし、初プレイに或るキャラを攻略対象に選んでプレイした所、少しの面白みも感じられない平坦ストーリーに興醒めした事に加え、おたすけナビ通りに選択してもちっともエンディングが見れないもので、頭にきてブン投げてそのまま積みゲーにしていたのです。今思えばあまりに軽率な行動だったとは思いますが、それにしても何の為の”おたすけ”ナビなのだか、全キャラクリアした今でも最大の疑問ですが。

そして約１年たってから「もう攻略サイトを見ながらでもクリアしてしまおう」と本腰を入れてプレイを再開。当方も批評サイトの評判の高さ故に本作に手を出したようなものなのですが、４人の攻略が済んでもまったく狂喜乱舞するような萌え話も無く、延々と続く大して山も無い平凡ストーリーにガッカリする事しきりでした。評判が高かったのも０４年にプレイすれば理解できたのかも？と邪推もしましたし。ただし、真の狂喜乱舞はこの後に待ち受けていました。

どこの批評サイトでも『ショコラ』の項を見ると親切にも攻略順番がほぼ間違いなく記載されています。当方もそれにならって２人のキャラの攻略を後回しにしたのですが、なぜ批評サイトでわざわざ攻略順番を載せていたのか、実際にプレイして良く分かりました。正直ヒドイ。酷すぎます。ソフトのジャケット表紙に描かれた真名井美里がただの『客寄せパンダ』と言われるのも今では頷くほかありません。ハッキリ申せば、この作品は大村翠と秋島香奈子の為にあるようなものです。他キャラはこの２人を盛り上げる為の『客寄せパンダ』でしかありませんでした。ここまでヒロインの扱いに差がある作品も珍しいのではないでしょうか？　その差たるや戦闘力５の地球人と超サイヤ人３ぐらい差があります。あり過ぎます。この差が個人的に本作品の評価を１段階下げざるおえない最大の理由なのですが、とはいえ、この２人のストーリーが他の４人に比べ段違いに素晴らしかったのは確か。もう滂沱の涙付属の大感動ストーリーに茫然自失するほかありません。同じライターが本当に書いたのか疑問に思うほどに凄まじい恋愛話でした。ギャルゲーファンでこの作品をプレイしていない方がもしいるとしたら、是非この２人に会って欲しい。２人の想いに触れて欲しい。狂おしい程に胸が締め付けられる体験を是非して欲しい。そう思います。詳しい個人の感想は以下で述べますが、若干ネタバレがありますので御注意ください。それでも素晴らしさの５％も伝えられませんが。しかし、真子さん等にもこの２人ぐらいのシナリオが付属していたら、もうそれこそ神だったのになぁ・・・。勿体無い。

◆ お気に入りＢＥＳＴ３

BEST1
大村翠　ＣＶ：松下雅

２大巨頭のどちらをＮＯ．１に据えるか少し悩みましたが、個人的趣向で翠を選びました。香奈子さんゴメン。ただ、彼女の場合は自らのシナリオよりも香奈子シナリオの方が彼女らしさが良く出ていました。とにかく意地っ張り具合が世界最高級。自分にとって最も大事な男を獲られると分かっていても、それでも歯を食いしばって必死になって香奈子を立てる翠にはもう感動せずにはいられません。飲み屋で香奈子に駆け落ちの真相を話した場面などは寒気がする程でした。そして彼女の努力もあって大介と香奈子は結ばれる訳ですが、クリア後にその後の２人を見る事ができる『香奈子ＳＳ』で、翠は始めて大介に「さよなら」と告げます。痛かった。辛かった。ずっとずっと好きだった男に「さよなら」と言った翠の心情を思うともう辛過ぎて泣きました。本当に凄い女性ですね、翠は。よっしゃ！　ならば翠シナリオでハッピーにしてやるぜ！といざプレイしてみると、今度は自分は絶対に大介と結ばれるハズがないとずーっと思い込んでいた為に、いきなり進展した大介との関係に強烈な不安を覚えるようになります。そして、もちろん香奈子さんも立ちはだかる訳で、その為に翠も情緒不安定気味に。ただ、これは総評に書くべきでしたが、本作品の主人公はどえらく男らしいのです。その辺のギャルゲーにいる軟弱主人公なぞ目では無いほどに実にイカした漢なので、また上手いこと意地っ張りな翠のハートを射止めてしまうのですね。翠が長年惚れていたのも良く分かります。いつまでも２人で２号店を盛り上げていって欲しいものです。因みに一番好きな場面は大介にプリンだかを「あ～ん」して食べさせるシーン。ちょっと涙目になっていて実に可愛かったです。きっとアレもずっとやってみたかったのでしょうねぇ・・・。声は松下雅氏。正直、最初はイマイチかなと思ったのですが聞いている内に気にならなくなりました。なんでしょう、癖になる声といった所でしょうか。

BEST2
秋島香奈子　ＣＶ：乃田あす実

２大巨頭のもう１人。彼女の場合はもう凄まじいと言えばよいのか、回りくどいと申せばよいのか、とにかく紆余曲折ありまくりの大恋愛ストーリーが繰り広げられます。ここで問題なのはこの香奈子さんの超絶なる頑固さにありまして、一度決めたら容易く自分の意思を曲げない性格が２人の恋愛に大きく立ちはだかります。悪く言えば自業自得でもあるのですが、そんな香奈子さんを好きになってしまったのですから、主人公は茨の道を突き進むしか無いのです。それと、香奈子さんはある復讐を企んでいるのですが、これも誤解により発生したものなので、ノーマルエンドでは大介にしてみれば誠に踏んだり蹴ったりでした（ただ、このエンドだと翠と主人公が爛れた関係になるのですが「これでもイイかも」と思った筆者はやはり翠派ですかね）。そんな２人の関係を正しい道に導いたのは人間ではありませんでした。キーはチロルというキャラ。超絶ネタバレになるので詳しくは申せませんが、ある意味、香奈子さんの良心的なキャラ。このチロルが修復不可能と思われた２人の仲を取りもどすキッカケを作ります。そしてそのキッカケをもとに主人公の大介が頑張るのですね。ラストの電車での攻防（？）は本当に見所がありましたし、それだけにその後の駅のシーンは号泣モノでした。「お互い回り道したね」と言う香奈子さんの心情を思うと切ないやら嬉しいやら・・・。で、ここで筆者がちょっと感じたのが、ここのシーンだけはＰＣ版でやりたかったなぁと。２人の長年の想いが結実した最高に素敵なシーンがキスと朝チュンだけとはあまりに表現不足を感じました。ここはやはりＨシーンが見たかったですねぇ。い、いや筆者はエロくないよ？　しやわせハッピーなＨシーンが見たかっただけだよ。ホ、ホントダヨ！　ゲ、ゲホン。それと、香奈子さんの真骨頂はクリア後にプレイできる『香奈子ＳＳ』にあります。自分の生活無能者ぶりを実に良く理解している上で、それでも一生懸命に自分の事を主人公に売り込む香奈子さんが可愛すぎます。そして最後にあるあの笑顔。もう破壊力満点です。いつまでもしやわせな２人であることを。声は乃田あす実氏。非常に巧みに香奈子の芯の強さ（頑固っぷりも？）を表現していたと思います。素晴らしい。

BEST3
真名井美里　ＣＶ：岡田純子

上記２人の影に隠れた可哀想なキャラ。せっかくジャケットで主人公然としていたのに、その扱いは実に軽かったのが残念な所です。ただ、素材としては２人にだって負けていませんよ。性格の天然さも好感が持てましたし、仕事を覚える為に深夜まで練習を繰り返す頑張り屋な姿も実に印象的でしたし。加えて主人公には絶対的な信頼を持ってくれているのですから、数多ギャルゲーに触れてきた方なら、全くどこに出しても恥ずかしくない萌えキャラであると判断すると思います。ただ、やはりメイン２人に比べると彼女に付属するイベント数の少なさが足枷になった感じです。ラストの美里奪還話もそれまでの経過が不足していた分、少し予定調和な印象があって素直に楽しめなかったのが正直な所。誠に勿体無い気がしました。クリアしても後日談が見れたのは上記２人のみでしたから、この程度の展開でここまで好感が持てただけでも良しとすべきなのかもしれません。実はすでに『パルフェ』も現段階で攻略済みなのですが、おまけＳＳに彼女が出ていて、あの玲愛に対しても全く物怖じせずに同じ調子で絡んでいるのが少し嬉しかったり。声は岡田純子氏。何と申しましょうか天然っぷりに癒しを加味する芸風が素敵すぎます。必聴です。

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ビーフストロガノフ(屠絵 味噌)