ビーフストロガノフの
ゲーム感想日記

ときめきメモリアル３

恋愛ゲーの大御所中の大御所である『ときメモ』シリーズの３作目ですが、このシリーズの中では一番評価が難しい作品だと思います。最近までいろいろな批評サイトを見てきましたが、概ね「まぁまぁ」という評価が定着している感じですね。筆者もこのソフト全般を見るとやはり「まぁまぁ」という言葉が出てきてしまいますが、細かく見ればキラっと光る部分もあって、単純に”普通”の烙印を押していいのか困る所ではあります。

やはり最大の評価の分かれ目が、今作品の売りである”トゥーンレンダリング”でしょう。筆者もこれに関してはちょっと導入するのが時期尚早だったのではないかと感じます。とにかく中途半端なのですね。最初見た時は自然に様々な動作を見せてくれるので驚いたものですが、慣れてくるとかえって煩わしくて、”綺麗に動く事”が”恋愛ゲーとしての面白さ”に必ずしも直結していないという事に気付くはず。なにより顔の輪郭やら体の骨格などがどのキャラも一緒な為に、髪の色や目の形を変えたぐらいではちっとも見た目の差別化に反映していないのが痛い（喜怒哀楽の表情もほんと乏しいし）。この様な出来ならまだ２Ｄで表現した方が愛着が沸く、恋愛ゲー好きに言わせれば「キャラ萌え」すると思うのです。しかも、ある程度好感度がたまると発生するイベントも、普通に会話をする時とまったく同じ動作、同じ表情で応対されるので、なんともありがたみが薄れてしまいましたね。少々厳しい事をあれこれ書きましたが、確実に言える事は、”トゥーンレンダリング”の為にシリーズ中で一番、恋愛の過程で盛り上がりに欠けたと言う事。恋愛ゲーとしては大事な所なのですがね。

実はこれより更にマズいのがファッションの選択。まず思ったのが「高校生でデートに”背広”着て行くやつ、いたら張り倒す！」という事です。高校生で背広なんておかしいでしょう？　これに黒ぶち眼鏡なんか引っかけたら更におかしいでしょう！？　なのに今回の女の娘達はこの格好が好みらしくて、大喜びしてくれます。なんと言いますか、製作者の頭の中と実際に街で歩いている高校生との間にどえらい溝があるように思うのですが、そう思うのは筆者だけですかね？（いやしかし今の若者はもっとカジュアル重視だと思うんだけどなぁ）　それはともかく、肝心の服の数が思ったよりも少なくて、選択の幅が狭いのは問題。女の娘の服の好みがキャラによって大差無いのも、ゲームとしてもっと問題。無かった方が良かった、もしくは後付けで女の娘が好む服装を手に入れるシステムにした方が自然だと思いました。

後は特に気になった所は無かったでしょうか。パラメータ表示がレベルになったのは随分と取っつき易くなった印象でしたし、趣味コマンドでデートの会話を増やせるシステムもバリエーション豊かで◎。前作から引き継がれたシステムをより遊び易くマイナーチェンジするのは、やはりコナミは上手ですね。プレイ自体にストレスを感じさせない作りは流石といった所。ただ、今回コナミが新たに導入してきたシステムが、前作で培われた部分を損なう形で重度の足枷になってしまったのは、ある意味、悲劇ではありましたが。まぁ、プラットフォームをＰＳ２に変えての初作品ですから、いろいろ技術的な部分で試してみたのかもしれませんね。言い方は悪いですが、”捨て駒”というやつですか。よって次作辺りはいろいろな意味で真価が問われる作品になると思うので、大いに期待して待つとしましょう。そういえば、ファンドの功罪はいつ頃判明するのでしょうな？

◆ お気に入りＢＥＳＴ３

BEST1
神条芹華　ＣＶ：皆川純子

元々こういう”アウトロー”なキャラが大好きなのですが、そんなキャラに惚れて貰えれば「我が人生悔いなし！」なのであります。登場の仕方もグースカ寝まくって体力あげると出てくるという、ちょと特殊な方なのですが、同じ登場でも『２』のドリルに比べればミステリアスさが利いていて実にイカしています。しかし少々クール過ぎて、どんな種類の会話もイマイチ盛り上がらないのが困り物。攻略にはデートスポットの選択がかなり重要と言えます。筆者の好きなイベントは、最初の方にある”雨の日に傘を貸してくれる”場面ですね。あの昔の和傘とでも言うのですか、あれ、ほんと凛とした彼女にピッタリでした。キーは傷。親しくなればなるほど体中が包帯だらけになっていくので主人公も心配するのですが、終盤になるととんでもないイベントが発生してその傷の理由が分かります。主人公も体を張って彼女を守りましょう。いやしかし、『１』の紐緒結奈閣下とタメ張る方がやっと現れましたね。シリーズ久方ぶりのぶっ飛んだキャラなので、攻略対象に意外性を求めるタイプの方にオススメです。皆川さん、クールかつ力強い神条さんを好演。

BEST2
御田万里　ＣＶ：橋本涼子

通称まりりん。と、愛称で呼ばないとやってられないと言いますか、ちょっとこの名前はどうかと思いましたね。やはり『奇面組』が頭に浮かんでしまいます。ま、高飛車度で言えばこちらに軍配が上がるとは断言出来ますが。芸術一家に育ち、自らも演劇部でその才能を遺憾なく発揮する天才肌なのですが、おかげで例に漏れず高飛車傾向が強く、高飛車愛好家の筆者には実に”萌え”なのであります。ただし、偶に『１』の鏡さんと言動がかぶる時があるので、新鮮さは薄れた感も多少ありますが。好きなイベントは、映画館で子供の頃に彼女が出演していた映画を一緒に見るというもの（普通のデートで発生）。ここでは絶対「とっても良かったね」を選びましょう。照れる彼女に萌へ。キーはスランプ。普段は自信過剰の彼女でも自分の才能に行き詰まりを感じる時があるので、その時は主人公が励ましてあげましょう。橋本さんは上手に高飛車声を演じていましたが、ご本人は優しそうな方でした。

BEST3
牧原優紀子　ＣＶ：神田朱未

おそらく多くのときメモラーの諸兄が”ゆっこたん”と呼ぶ彼女。流石にメインヒロインなだけあって、性格の如才なさは折り紙付き。しかも『１』の誰かさんみたいに完璧主義者でもないので、好感が持て安心です。ただこの方、某『ト○・ハート』の某あかりんに性格から髪の色までクリソツなので、何とはなしにデジャブ満点キャラではありますが。逆に「すーぱーあかりんだよ～」に鼻血モノの方には彼女もＯＫかもしれません（実は『３』には、あからさまに既視感を覚えるキャラが何人か存在するので、その辺も評価が若干低くなっている原因かと思われます）。好きなイベントは眼鏡。”トゥーン”の眼鏡はイマイチ可愛くないのですが、ボケかますゆっこたんに思わず万歳。キーはおばあちゃん。『３』で唯一泣けるイベントです。特にラストの方はホロっとしてしまいました。マジでこんないい娘、今時おらへんなぁとしみじみと感じ入った次第。声の神田さんは人気出ると思いますね。金月さん並にはいくのと違いますかね？

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ビーフストロガノフ(屠絵 味噌)